1.初めに、保育行政の現状と今後のあり方について、3項目にわたり質問します。80年代から始まった「官から民へ」の規制緩和、市場化の流れのなか、保育園を取り巻く環境もまた大きく変えられてきました。増え続ける待機児童の解消が大きな課題となりましたが、国は予算を重点配分するどころか逆に保育所運営費の国負担分を段階的に減らし、定員オーバーの入所、臨時保育士の増加など数々の規制緩和、つまり基準の引き
下げを行ってきました。待機児童を受け入れるための量的拡大を行った結果、保育環境は悪化してしまいました。2004年には公立保育所運営費が三位一体改革によって一般財源化され、これを契機に公立保育園の民営化が各地で進められています。その状況を見ると、2005年の1年間に80園が民営化されたのをピークに、その後は若干減少し、昨年は39園でした。民営化初期の段階では行政側が保護者などへの説明や意見聴取も行わずに拙速に進める場合が多く、全国各地で裁判に発展しています。この間、私も東京や千葉の関係者からお話を聞き、実際に裁判の傍聴にも足を運んで情報収集をしてきました。どのケースも例外なく財政削減を目的に民営化しています。しかし、本来、保育サービスは効率や採算性だけでは成り立たないこと、また行政は「民でできることは民で」と言いますが、保育の公的責任は自治体に法的に義務づけられ第一義的な責任があることなど、再認識すべきではないでしょうか。佐倉の保育の現状について検証し、今後のあり方について市民とともに中長期的展望で考えていくことが、いま何よりも求められています。それでは、質問に入ります。
最初に保育園の現状と課題について、以下3点、伺います。
1点目、認可保育園の入園状況と待機児童数について、お聞きします。
2点目、一時保育の実施状況についてですが、利用人数の推移はどのようになっているのでしょうか。パート就労のために利用する方が増えていると聞いていますが、利用理由についてもお答え下さい。
3点目は、新園設置に向けての取り組みについてです。市は2年前に王子台地区に民間保育園を誘致しましたが、不調に終わりました。今年度、再公募すると聞いていますが、具体的なスケジュールと公募の条件について、伺います。また、中志津の市有地に新園を設置する予定についても、お聞かせ下さい。
2つ目は、認可外保育園に対する支援策についてです。
市内には公立保育園8園と今年4月にオープンした白銀のにじいろ保育園を含めて民間園が8園、合計16の認可保育園があります。この他に7つの認可外保育園があります。これらの施設は規模や保育内容もまちまちですが、認可保育園の空き待ちでの入所、親が働いてはいないが何らかの事情で子どもの面倒を見ることができない場合など、さまざまな理由で利用されています。また、市が入園申し込みの窓口となる認可保育園とは違って、入園の申し込みも利用者と園との直接契約となっています。保育料も所得による応能負担ではなく一律設定となっているため、認可保育園と比べて保護者負担は重くなっているのが実情です。認可外保育園の許認可は県の管轄となっているため、市には直接の権限はありません。県による施設への指導監査に市も現地同行していると聞いていますが、市は認可外保育園の現状をどのように把握し、係わりをもっているのでしょうか。今回、私は県から19年度の認可および認可外保育園の指導監査にかかわる資料を入手しました。また、企業立の保育園と認可外保育園の数施設を見学させていただき、園長先生や現場の責任者の方々からお話を伺うことができました。市内の保育事情の一端を知ることができたと思います。駅前型保育園と郊外型保育園では施設や周囲の環境、保護者のニーズ等の違いから一概に比較することはできませんが、認可保育園という点で一定の基準を満たしています。一方、認可外保育園については幅があります。いずれにしても、子どもの育ちを考えた場合、市は保育の質を向上させるため、また保護者の負担軽減を図るために認可外に対する支援をする必要があるのではないかと強く感じています。千葉県は二十数年前、認可外保育園に対する補助事業が打ち切ったようですが、他の自治体では独自の支援策が行われています。船橋市では認可外保育園はもちろん親族間の預かりあいであっても、保護者が負担した保育料に対して補助金を交付しています。その他にも保育園が実施する健康診断への補助金を出している自治体が複数ありました。佐倉市でもどのような支援策を取れるのか前向きに検討していただきたいと思います。お考えを伺います。
3つ目は、保育園民営化と保育の公的責任についてです。
佐倉市でも公立保育園の民営化が集中改革プランの改革項目として挙げられ、これまで「民営化は避けて通れない議論」との認識で検討が続けられています。私は当市において公立保育園が果たしてきた役割を高く評価し、公立8園全てを引き続き直営で存続するべきとの立場から発言してまいりました。格差社会が絶対的貧困の問題へと深刻化し、離婚等によるひとり親家庭の増加、専業主婦の孤独な子育て、ドメスティックバイオレンスや児童虐待など公的な支援を必要とするこども・家庭が増えています。このような問題への対応を民間保育園に求めることには無理があります。また、公立保育園にとっても期待される役割や責任が今後一層増すなか、経験のあるベテラン保育士が少なくなって臨時職員が今以上に増えれば、現場はますます厳しくなります。保育の質の低下にもつながりかねない問題です。保育園は保育を必要とする親子のライフラインであることに加え、今では育児相談や園庭開放等の実施も求められ、地域の子育て支援の拠点ともなっています。また、何よりも保育の質の大きな部分を占めるのは人、すなわち保育士であり、これまで公立保育園においては長期的な人材の育成が行われてきました。これらの蓄積が地域の保育全体を底上げしてきたことも忘れてはならないと思います。一般的に民営化すれば人件費は公立の75%程度に削減できるといわれていますが、当市の公立園ではすでに7割が臨時職員であることからも経費削減という点でどれほどの効果があるのか、疑問です。また、全体の予算規模から見た場合、公立保育園の運営に過大な負担がかかっているとは思えません。次世代を担う子どもたちへの投資と考えるべきではないでしょうか。そして何よりも申し上げたいのは、いったい誰が民営化を望んでいるのかということです。少なくても市民からそういった声は寄せられてはいないと思います。民営化路線の行き着く先は自己決定という名の自己責任論であり、社会保障としての保育の本質が失われてしまう危険性をはらんでいます。佐倉市では「公立保育園のあり方検討会」が今年度立ち上げられるとのことです。そこで、この機会に5年10年先の中長期的な観点から公立保育園の果たすべき役割を議論し、全体的な保育環境の整備に力を注いでいただきたいと思います。市長のご見解をお聞かせ下さい。
2.次に入札制度改革による成果および課題と地域の社会経済を向上させるための取り組みについて、3項目にわたって質問します。
政府財界の求めによる規制緩和の流れのなか労働法制が改定され、派遣、パート、アルバイトなどの非正規雇用が今や1700万人を超え、雇用労働者の3割を占めています。最低賃金ぎりぎりでの働きを余儀なくされ、生活保護基準以下の生計から抜け出せない「ワーキングプア」と呼ばれる絶対的貧困層の問題にようやく社会的関心が向けられるようになりました。自治体もまたこの問題と無関係ではありません。国は地方行革モデルとしての集中改革プランを断行するよう自治体に求め、佐倉市でも経費削減を目的にさまざまな業務委託や指定管理者制度によるアウトソーシングを急速に進めています。国や地方の公共事業や委託事業に働く労働者は1千万人以上にものぼり、ここでも低賃金不安定雇用の拡大や解雇の問題が生じています。コスト削減が働く人の犠牲の上に成り立っている状況があるとすれば、自治体のあり方として間違っているのではないでしょうか。経費削減を追求するあまり佐倉市が発注する業務委託先でワーキングプアをつくり出している状況はないのか。現行の入札契約制度を検証し、改善に向けての具体的方策を探る必要があると考えます。
そこで、最初に入札契約に関する取り組み状況について、伺います。佐倉市ではこれまで数次にわたって制度改正を行ってきましたが、これまでの主な成果と課題、今後の方向性についてお聞かせ下さい。
2つ目は、落札率や低入札価格等の検証についてです。佐倉市では18年度から全ての事業を対象に制限付き一般競争入札が実施され、全体的な落札率は低下傾向にあります。その一方、予定価格の70%以下で落札する低入札価格の案件も多く見られます。そこで、私は今回の質問に先立ち、17,18,19年度の入札にかかわる資料請求を行い、建設工事やコンサルタント、委託についてどの程度の落札率となっているのか調べました。その結果、特に委託業務については3割程度が予定価格の70%以下の契約価格、つまり低入札価格となっていることが分かりました。これら委託事業の内容は、清掃、警備、廃棄物収集、施設整備保守点検などです。清掃業務を例にあげると、低入札価格が17年度は48件中21件、18年度は34件中25件と非常に高い比率となっています。さらにそのほとんどが50%程度の落札率で十数社の参加がありましたが、19年度は入札参加者が極端に減少しました。この背景に不当に安い価格で落札するダンピングの実態はないのでしょうか。また、粗大ごみ収集運搬業務においても急激な落札率の低下が見られます。この業務のB地区を例にあげると、17年度から年々落札率が低下し、19年度は予定価格2358万円に対して891万円、4割にも満たない契約額となっています。このほとんどが人件費と思われますが、なぜこのような結果となったのでしょうか。低入札価格で契約した事業の実態調査が必要と考えます。そこで、以下3点、質問します。
1点目、現在、市は1千万円以上の建設工事、2千万円以上の委託業務を対象に低入札価格調査を実施しています。17年度からの調査件数と状況について、伺います。
2点目は、契約価格が予定価格の70%以下となっている低入札価格のうち、調査の対象外となっている契約の検証についてです。業務委託については多くの場合が2千万円以下の事業となっており、調査の対象とはなりません。しかし、先ほど述べたようにダンピング競争が行われ、現場の労働者へのしわ寄せがあったのではないかと疑われる状況があります。そこで、市は発注者責任として、契約時に委託先の雇用形態や契約内容の中身をどの程度チェックしているのか、お答え下さい。
3点目は、低入札価格調査の対象範囲の拡大と最低制限価格制度の採用についてです。委託業務については、ほとんどの事業が2千万円以下で低入札価格の対象となりません。しかし、そのほとんどが1千万円以下の事業であり、落札率も予定価格の70%を下回っています。契約先での雇用状況を把握し労働者の賃金を保障するための方策が必要であると考えます。具体的には、委託業務について最低入札価格調査の対象金額を下げるか、契約金額に応じて最低制限価格を設定するなど、ダンピングを防ぐための検討を求めます。ご見解を伺います。
3つ目は、「公契約条例」制定に向けての今後の取り組みについてです。
現在の入札制度は、税金の無駄をなくすために可能な限り安い価格で調達する「価格入札」の考え方に基づいています。一方、価格という単一要素で委託先を評価選定する方法が労働者の低賃金をはじめとするさまざまな公正労働の問題を引き起こしている実態があります。このような中、価格重視の競争入札ではなく雇用や福祉など社会的価値を含んだ「政策入札」に転換していくための取り組みが求められています。そのための有力な手法となるのが、「公契約条例」と呼ばれるものです。国においては、公契約における労働条項を定めた1949年のILO(国際労働機関)94号条約をいまだに批准していないこと、また、2000年11月制定の「公共工事の入札及び適正化促進に関する法律」における付帯決議等が履行されていないことなど多くの課題がありますが、自治体としてできることから取り組む必要があると思います。そこで以下2点、伺います。
1点目、安心して働き続けられる雇用の場の確保は、地域経済を活性化し市税収入の確保にもつながります。自治体が経費削減を追求した結果、ワーキングプアを生み出してしまう状況は決して容認されません。そうならないための政策が早急に求められていますが、現状認識を含めたご見解をお聞かせ下さい。
2点目は、「価格入札」から「政策入札」への具体的な取り組みについてです。
価格以外による調達手続きとして、指定管理者の公募・選定、協定、随意契約、プロポーザル方式など様々な形態があります。しかし、委託料算出のベースとなる労務単価や価格以外の評価項目などの設定については、統一的なガイドラインがなく各担当課が独自の判断で行っています。政策入札への移行を進めるために、総合評価方式のあり方について検討していく必要があると考えます。昨年7月、東京都国分寺市は調達に関する基本指針をつくり、推進計画に沿って具体的に動き出しています。佐倉市でも市の方針を明確化したガイドラインが必要なのではないでしょうか。今後、「公契約条例」の制定を視野に、関係機関との意見交換や調査研究を進めるための検討委員会の設置を求めます。ご見解をお聞かせ下さい。
3.最後に、水道事業運営のあり方と今後の方向性について、2項目にわたり質問します。
1つ目は、臼井地区における大規模な赤水発生への対応と今後の体制についてです。去る3月9日(土)未明から臼井地区全域と千代田地区の一部で濁り水が発生しました。角来地先で行われていた石綿セメント管撤去作業時の事故によるものですが、翌日以降も住民生活に大きな支障をきたしました。多くの住民が赤水の原因や対応について情報を得ようとしましたが、広報が行き届かなかったため、家庭や飲食店の営業などに被害が出てしまいました。また、
給水活動についての不満や改善を求める声も多く聞かれました。そこで、以下2点について、伺います。
1点目は、住民生活への影響についてです。今回の事故に際して、どのような指示マニュアルに従って対応したのでしょうか。被害状況の把握、広報や給水活動のあり方に問題はなかったのか。どのような総括をしたのか、伺います。
また、水道料金の返還や物的被害への賠償について、住民からどのような要請があり対応したのか、お答え下さい。
2点目は、災害時を含めた緊急体制についてです。今回の責任主体は水道事業部、最高責任者は水道管理者であるため、広報や給水活動をはじめとする対応は水道部職員が水道工事業者の協力を得て行いました。しかし、住民から見ると人手不足で十分な対応がなく、他部門の職員が動かないのは納得がいきません。確かに水道事業は独立採算の公営企業ではありますが、緊急時に備えた全庁的な体制づくりが必要と考えます。今回の経験を踏まえて、具体的な検討を求めます。ご所見を伺います。
2つ目は、千葉県が進める「県内水道の統合・広域化」の問題点についてです。
2003年5月、千葉県は県営水道の末端給水廃止を前提に用水供給事業の県営水道への一元化、圏域ごとに事業統合するという構想を提案しました。しかし、市町村からの反対、批判や疑問の声が相次ぎ、2005年に学識経験者による「県内水道経営検討委員会」が立ち上げられ、昨年2月、知事宛に提言「これからの千葉県内水道について」が出されました。現在、県はこの提言に基づいて県内水道の統合・広域化を目指していますが、その目的や内容は大変問題のあるものであり、なおかつ実現性も乏しいと思います。そこで、以下2点、伺います。
1点目、県内には6つの用水供給事業があり、佐倉市は印旛広域水道用水供給事業から水道水の約35%である河川水を受水しています。県は5年以内に統合を希望する地域から用水供給事業体を順次県営水道に統合する「水平統合」を進めるとのことです。そこで市は県や印旛広域水道からその進捗状況について、どのような説明を受けているのか、伺います。
2点目は、水道事業の今後のあり方についてです。県は用水供給事業の「水平統合」の後に各自治体の末端給水事業体を「垂直統合」し、その運営を広域連合企業団もしくは地方独立行政法人や民間委託に委ねる方向性を示しています。今回の一元化は県内の水道料金の格差是正を大きな名目に進められていますが、本当の目的は県の財政負担を縮小化し、責任を放棄することにあるのではないでしょうか。県営水道との料金格差を埋めるための補助・繰出金が市町村分担分と合わせて年間70億円支出されていますが、そもそも県が過大な水需要予測を見直さず九十九里や南房総広域水道事業に押し付けたことに起因しています。八ッ場ダムはじめ必要性の失われた水源開発から撤退し財政削減を図ることこそ真の解決策であり、県の水政策の誤りを棚上げしたままその負担を県内一律に平準化しようとしているだけではないでしょうか。各水道事業には長い歴史や地域固有の事情があります。県の進める一元化が佐倉市に与える影響について、独自に検証することが必要と考えます。今年4月1日現在、佐倉の水道料金は県内42事業体の中で11番目の安さとなっていますが、それがどのようになるのか。また、水道水の65%をしめている地下水の利用がこの先制限されることはないのか。佐倉市にとってのメリットは何か、等々についてです。また、何よりも住民の生存権にも関わる水という公共財を供給する自治体の責任を将来にわたってきちんと果たしていくことができるのか、今後のあり方について主体的に考え、県に対して市の方針をきちんと伝えるべきと考えます。ご見解をお聞かせ下さい。
以上で、第1回の質問を終わります。
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