1.初めに八ッ場ダム事業工期5年延長への対応と水需要予測の見直しについて、3項目にわたり、質問します。群馬県長野原町に計画されている八ッ場ダム事業は、最初の計画発表からすでに56年が経過しましたが、今なお完成の見通しが立っていません。すでに治水、利水両面からも必要性が失われているダム建設に総額8800億円にも上る税金を投入するのは許されないとして、関係6都県の住民が一斉に住民訴訟を行っているところです。千葉地裁では第14回裁判が3月18日にあり、今後はいよいよ証人尋問に入る段階です。そこで、質問に入ります。
1つ目は、工期延長に対する市独自の判断についてです。昨年12月3日、国交省は八ッ場ダムの工期を5年延長して27年度末とし、新たに群馬県が県営発電所を設置するなどの計画変更を発表しました。その後、1月11日付けで関係自治体等へ計画変更に対する意見照会を行なっています。佐倉市も印旛広域事務組合を通して国に工期延長に同意するか否かを回答することになっていますが、市はどのような情報収集を行い、政策判断を行ったのか、以下3点、伺います。
1点目は5年工期延長の妥当性についてです。八ッ場ダム中止を求める私たち市民団体はこの間、国や県等に情報開示請求を行い様々な資料を入手しました。それらを検証すると、27年度のダム完成は不可能であることが分かりました。工事の工程表を見ると、ダム本体を作る前に川の流れを変える仮排水トンネルもしくは転流工とよばれる工事があり、その着手からダム本体完成までに9年はかかります。このことからも工期を10年延長した前回13年度の変更時点で22年度完成は無理であったことが分かります。それにもかかわらず、関係都県は13年の計画変更時に国に対して工期を厳守するようにとの意見を付して同意しているのです。国は関係自治体を欺いていたといえるのではないでしょうか。更に昨年12月末、国会議員から新たに入手した年度別工事予定表(案)によると、仮に19年度に転流工工事に着手できたとしても、ダム本体に試験湛水できるのは27年度後半であり、同じく9年間かかることが分かりました。19年度、確かに転流工工事のための予算付けはされましたが、最終的な用地買収契約ができないことから、工事着手の見通しも立っていません。以上の事実を踏まえ、27年度ダム完成の妥当性について、市の見解を伺います。
2点目は、事業再評価の必要性についてです。昨年末、私たちは堂本知事に対し、今回の計画変更は千葉県の厳しい財政状況に照らして無視できないものであり、県独自の事業再評価を実施するよう要望しました。県からの回答は、国の事業評価監視委員会が再評価を行ったから必要ないというものでした。しかし、国の再評価の内容はあまりにも杜撰です。事業継続の是非を決める費用便益を2.9とし、吾妻渓谷を台無しにしてしまうのに流用確保で逆に景観が良くなって便益が生まれるというあきれたインチキ計算を行っています。委員会では事業の必要性や問題点についての質疑は皆無であり、いとも簡単に事務局案にお墨付きを与えてしまいました。今回の計画変更は、佐倉市にとっても今後の水需要を精査し、事業の必要性について再検討する絶好の機会であったと思いますが、どのような検証を行ったのか、お聞かせください。
3点目は、事業費の増額についてです。国交省は今回の計画変更にあたり、事業費の増額はない、コスト縮減でカバーできると説明しています。しかし、これまでの実績を見ると、16年度の事業費199億円に対する縮減額は8千万円でわずか0.4%という状況です。また、川原畑地区の国道など地質が悪いために工事をやり直す箇所が複数あり、工事費の増額が予想されます。さらにはダム完成後、水力発電を行っている東京電力に対する永続的な減電補償の問題があり、その額は250億円との試算もあります。前回の13年度にも10年工期延長の計画変更が示され、その時点では事業費の増額はありませんでした。しかし、国はそのわずか2年後の15年度に事業費を2110億円から4600億円に倍増してきたのです。果たして、今後の事業費増額はないと判断できるのでしょうか。今後の見通しについて、伺います。
2つ目は、利根川・荒川水系水資源開発基本計画(通称フルプラン)の全部変更についてです。八ッ場ダム等の上位計画であるフルプランの策定が年度内に閣議決定される見通しです。新しいフルプランの特徴として、第一に水需要の実績が減少傾向にあるにもかかわらず、相変わらず今後も需要が増加するという架空の予測を行っていること、第二にこれからはより厳しい渇水年、10年に一回の渇水年を想定した水源開発が必要という主張を前面に打ち出しています。千葉県では県内の関係利水者への説明会を行い、15年1月に策定した県の「長期水需給計画」に基づいて国に回答するとのことです。国はフルプランの改訂を意図的に先延ばしにしていましたが、今回の八ッ場ダムや霞ヶ浦導水事業などの工期5年延長と合わせる形で、フルプランの全部変更を示してきました。そのためフルプラン策定のために行った県の水需要調査のデータは古く、印旛広域水道の場合、11年実績値を基に12年に県に水需要の回答をしています。印旛広域水道の水需要の実績は16年度実績で16万3千4百立方メートルであり、八ッ場ダム完成予定時の22年度は16万6千7百立方メートルとなっていました。ところが、今回のフルプランでは目標年次である27年度の水需要はいっきに跳ね上がり、23万8千立方メートルにもなっています。人口減少が進み、水需要も今以上増える要因は見当たりませんが、実態とかけ離れた水需要予測が行われ、必要性のない水源開発を進める根拠付けを行っています。今回のフルプラン改訂については、佐倉市に国や県からも情報が届いていないと聞いていますが、このような現状について、どのように考えますか。水問題は住民生活に密着した重要な政策課題のひとつと考え、市が独自に情報収集し、検証すべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。
3つ目は、国交省の天下り問題と無駄な公共事業についてです。国会議員の入手した資料により、15年から17年の3年間で77人もの国交省職員がダム工事を落札している37社と7つの公益法人に天下利している実態が明らかになりました。最近では八ッ場ダムの環境対策関連業務を天下り先の法人が随意契約によって業務内容に見合わない高額で受注していることも分かりました。政官業の癒着が無駄な公共事業を推進しています。また、国の政策や直轄事業について、おかしいと思ってもNOといえない自治体がほとんどであり、無駄な事業にストップがかけられません。八ッ場ダムはその典型です。本当に市民の立場に立った市政を実現するのであれば、国や県を怖れていてはいけないと思います。佐倉市よりはるかに小さい熊本県相良村の矢上村長は、一昨年、国に対して川辺川ダムから撤退すると表明し、議会も村民もその決断をバックアップしました。計画から半世紀以上経ち、社会状況も大きく変わっている今、八ッ場ダムからの撤退を決断し、地元再生策に取り組むべきです。蕨市長には将来に禍根を残さない賢明な判断を求めます。ご見解をお聞かせください。
2.次に、市街化調整区域における開発問題の現状と今後の方向性について、2項目にわたり、質問します。
1つ目は、間野台地区における開発問題についてです。2006年12月、間野台と新臼井田の間の谷地に宅地開発の事前協議申請が出され、翌年には臼井中学校グランド裏の畑、それに隣接した江原新田側の土地にそれぞれ100戸程度の宅地開発が進められています。谷地部分の開発については、計画変更があったため現在、協議中とのことですが、他の2件は昨年の11月と12月に許可が下ろされています。そこで、これら間野台地区における開発の進捗状況と今後の課題について、以下2点、伺います。
1点目。これら3件の開発は別々の事業者が行っていますが、良好な住環境を整備するために、区域内の開発事業の調整を図る必要があります。仮設道路を含めた道路計画や排水計画等についての協議が必要ですが、市はどのような指導を行っているのでしょうか。区域内の切土盛土や谷地への埋め立て土砂搬入についてもご説明ください。
2点目は、近隣住民から事業者や市にあげられている要望について、どのように対応するのか、伺います。特に道路問題は深刻な課題です。新しく造成される200から300戸の住宅地からの車両が既存道路に集まり通過する状況になっており、通学路ともなっている生活道路の安全確保に積極的に取り組むべきです。交通量の増加に対応できる新設道路や既存道路の拡幅、歩道整備や歩行者専用の通り抜け道路の検討について、今後どのように取り組むのか、お聞かせください。また、土砂の埋め立てについては、土質の安全性や10トンダンプが一日あたり50台も往来する危険性を危惧する声も多く聞かれます。住民の立場に立った許可判断と行政指導を求めますが、今後どのように進めていくのか、伺います。
2つ目は、関係住民の意見反映と今後の課題についてです。2003年に条例改正した市街化調整区域の開発規制を緩和した部分を元に戻す条例改正が、今議会に提案されています。開発行政のあり方を抜本的に見直す姿勢に対しては、前向きに評価したいと思います。今回の政策転換によって、今後はより積極的に水と緑を大切にする街づくりを進めてほしいという観点から、以下3点、伺います。
1点目。条例改正の施行日は来年の4月1日からとなっており、現行の条例が摘要される1年もの間、新たな開発申請が駆け込みで提出される可能性も大いにあります。現行条例の即時廃止を求める声もありますが、なぜ周知期間を設けているのか、その法的根拠についてもご説明ください。
2点目。条例改正に先立って1月24日から2月7日まで、市民にパブリックコメント、意見募集を行いましたが、どのような意見が何件寄せられたのでしょうか。また、それらの意見反映をどのように行ったのでしょうか。市民意見の中には、条例に直接関わらないところでの要望や提案、たとえば開発事業者への行政指導のあり方についての意見もあったと思います。特に、開発問題に直面し労苦を経験してきた住民の声をどのように受け止め、今後に生かしていくのか、お聞かせください。
3点目。都心から佐倉市に転居してきた多くの市民は、住宅地周辺に残された市街化調整区域の緑地保全を強く望んでいます。上位法である都市計画法や県の都市計画区域マスタープランも見直され、市街化区域の拡大に歯止めがかけられました。当市においても自然環境や住環境を積極的に守る政策を打ち出すとともに、長期的展望から土地利用のあり方を住民参加で議論し、都市マスタープランの見直しに取り組む必要があると思います。ご見解を伺います。
3.最後は、競争や格差拡大を進める国の教育改革が学校現場に与える影響について、3項目にわたり、質問します。
1つめは、「全国学力・学習状況調査」(通称、全国一斉学力テスト)結果の市独自の取り扱いについてです。昨年4月に行われた全国一斉学力テストについては、実施以前から個人情報の流出をはじめとする様々な問題点が明らかになり、私たち市民ネットワークも文部科学省に対しテストの中止を求め、また、市の教育委員会に対しても、テストへの不参加を求める活動を行ってきました。それは、このテストが子どもたちや学校現場にもたらす弊害があまりにも大きいと考えるからです。文科省は、国際学習到達度調査(PISA2006)の結果から日本の子どもの学力低下が著しいとして、「学力向上」の名の下に全国一斉学力テストを43年ぶりに復活させました。国の教育改革の考え方は競争による学力向上であり、子どもも教師も学校も競争し評価され強いものだけが生き残る、弱肉強食ともいえる姿があります。そこで、以下、2点、伺います。
1点目。昨年末、各学校に対して、調査結果の独自分析と結果の公表、さらに改善方策を求めましたが、そこから何が明らかになったのでしょうか。また、その結果や学校現場からの意見を受けて、教育委員会はどのような検討を進めているのでしょうか。
2点目。昨年第1回テストへの参加は教育長の専決で決定し、その参加理由として学力向上に役立てるとのご説明がありました。そこで、伺いますが、このテストへの参加は佐倉市の教育にとって必要不可欠なものなのでしょうか。子どもたちは日々の小テスト、定期テストに加え、県や市の行う学力テストなど日常的にたくさんのテストに追われています。このテストは民間企業に77億円もの税金を支払って実施され、採点も教育の専門家ではないグッドウィルからの派遣労働者らが行なうなど、テストの信頼性についても大いに疑問があります。全国一斉学力テストによって、点数至上主義の詰め込み教育が加速し、子どもと学校の序列化、格差拡大が進められるのは必至ですが、来年度の参加について、どのように検討しているのか、お聞かせください。
2つ目は、改訂「学習指導要領」の問題点についてです。今月15日に発表された新学習指導要領案は、改悪された教育基本法、教育3法施行後はじめての改訂であり、次のような問題点があると考えます。第一に、学校週5日制の実施に伴って削減された「学習内容の3割」をほぼ元に戻し、授業時間数を増やして「活用力」を重視する内容となっています。現学習指導要領の目玉であった総合的な学習の時間を小・中学校ともに週1コマ削減、小学校5・6年で外国語を週1コマ導入します。これまでの「ゆとり教育」からの転換ではないとしていますが、現行の週5日制の中では授業内容が過密になり、一層の詰め込み授業になる恐れがあります。第二に「規範意識」や「道徳教育の充実」が繰り返し強調されており、「愛国心」の押しつけになれば憲法や子どもの権利条約が保障する内心の自由への侵害につながりかねない点で問題です。第三に、学力を2つに類型化し、基礎・基本の学力の習得と知識・技能の活用による思考力・表現力の育成が強調されました。そのうちの「読み・書き・計算」の基礎学力を徹底して習得させるために学習指導要領に「重点指導事項」が書き込まれ、点検・評価システムと学力テスト体制の中で徹底がはかられます。このことによって、政府・文科省が直接、各学校に介入、統制することが可能になり、教育の地方分権は名実ともに反故にされます。今回の改訂に対し、以上のような危機感を持つものですが、教育長のご見解と今後の対応について、お聞かせください。
最後は、豊かな学力を保障するための教育環境の整備について、以下2点、伺います。
1点目は、学校現場の多忙化についてです。政府は今月1日に義務教育標準法改正案を閣議決定し、学校教育法の改訂で新設された副校長、主幹教諭、指導教諭が全国の公立学校に配置されることになります。主幹教諭を置く学校については教職員の加配が認められますが、授業負担を学校内の一般教諭で肩代わりできない場合に限られてしまうと、多くの学校で主幹教諭以下の教員の負担が重くなります。文科省を頂点する、教育委員会、校長、副校長、主幹教諭というトップダウンの教育体制をつくるために、担任を持っている一般の教員が今以上に多忙になり、子どもと向き合う時間も少なくなります。文科省が40年ぶりに実施した2006年の「教職員の勤務実態調査」では、多忙な学校現場の実態が明らかになりました。それによると、休日を除く超過勤務時間が1ヶ月平均34時間で約20時間の持ち帰り仕事が恒常的になっており、1966年の調査と比べ、残業時間だけで約5倍も増加しています。教員は様々な研修をはじめ、クラスの事務処理、調査依頼の整理や報告、子どもの問題行動や理不尽な要求をつきつけてくる保護者への対応にも多くの時間を費やしていると聞きます。本来の職務である教材研究や授業改善、教育相談等の活動が十分にできない状況にあります。このような現状を踏まえ、文科省も2008年度予算要求として、3年間で教職員定数の2万1千人増を掲げましたが、来年度はわずか1千人の増加にとどまっています。そこで伺いますが、佐倉市における教職員の勤務実態をどのように把握しているのか。また、教育委員会として、学校現場の多忙化を解消するためにどのような手立てを打っていくのか、伺います。
2点目は、少人数学級の推進についてです。国は「学力向上」のスローガンを掲げるばかりで、教育予算は削減し、教育環境を整える姿勢は全くありません。むしろ教育予算を国際競争に勝てる1割のエリートのために重点配分する考えであり、公教育の使命を忘れ去っていると言っても過言ではありません。平和で民主的な国家を支えるのは一人ひとりの国民であり、そのための教育をきちんと保障するべきです。教育の中央集権化が進む中、教育の地方分権が以前に増して重要となっています。佐倉の学校において、学ぶ楽しさが実感できる授業、自分だけが「できる」のではなく仲間とともに考えて「分かる」ことを大切にする豊かな教育を実現していただきたいと思います。そのためには少人数学級を推進していく必要があります。現状と今後の取り組みについて、お聞かせください。
以上で第1回の質問を終わります。
|