| 市民ネットワークを代表し、発議案2号および3号には賛成の立場から、また発議案4号には反対の立場から討論いたします。
はじめに、発議案2号「年金加入記録」の徹底的な解明を求める意見書についてです。
先月30日未明まで続いた国会で政府・与党は、年金加入記録問題にかかわる年金時効特例法案、社会保険庁改革関連法案をふくむ全ての法案を成立させました。5ヶ月におよぶ会期中、審議続行を求める野党の反対を押し切り、与党による強行採決は20回にもおよび、国会史上例を見ない混乱ぶりです。このような国会運営の中、年金記録問題の徹底的な解明にむけての方策が示されないばかりか、年金データの情報開示すらきちんと行なわない政府の姿勢は、大変問題です。先月中旬、社民党の調査によって昭和17年から29年までの被保険者年金記録いわゆる「旧台帳」のうち、83万件が廃棄された疑いが濃厚になりました。これら「旧台帳」の情報開示が求められていますが、社会保険庁長官はじめ厚生労働大臣も事実を明らかにしないばかりか覆い隠す対応をとっていることが国会審議の過程で明らかになっています。政府は宙に浮いた年金記録の1年以内の照会、消えた年金を救済する第三者委員会や歴代大臣らの責任を追及する検証委員会の設置、首相や厚生労働相、社会保険庁職員のボーナス自主返納で年金問題の追及を避ける構えです。しかし、社保庁分割・解体によって代わる新組織が今後、膨大な記録の照合を行なえるのか、個人情報保護の観点から年金記録の扱いを非公務員や民間に任せて良いのか、などの問題解決も先送りにされ、国民の不安や不信は増すばかりです。以上のことから、この意見書は採択すべきものとして、賛成いたします。
次に、発議案3号集団的自衛権の行使に関する意見書についてです。
安倍政権は今年5月に改憲手続き法を成立させ、3年後には憲法改正案の国会発議を目指しています。今月29日に行なわれる参議院選後には衆参両院に憲法審査会が設置され、改憲手続法施行に備えた憲法改正「大綱」や要綱の策定、集団的自衛権の解釈見直しが議論されることになります。この審査会に安倍首相の私的諮問機関である有識者懇談会が集団的自衛権行使の解釈見直しについての結論を投げかけ、来年の通常国会には「安全保障基本法案」が提出されるとみられています。この法律の成立により自衛隊の海外派兵が明文化され、3年後の改憲による武力行使の合法化へとレールが敷かれることになります。このところの内閣支持率の低下や九条改定に消極派が過半数を超えるなど、現政権の動きに危機感がもたれてきていることは確かです。3年後の九条の明文改憲はいうまでもありませんが、それに先行し解釈改憲によって集団的自衛権の行使に踏み出そうとすることは、明らかに憲法違反であり、到底許されません。よって、この意見書は採択すべきです。
最後は、発議案 4号異常気象による災害対策や地球温暖化対策の強化・拡充を求める意見書についてです。
今年5月、自民・公明、民主党が共同提案した環境配慮契約法が可決・成立しました。政府は京都議定書発行を受けて、実行計画を作成し、自らの温室効果ガスの排出量について、2010年度から12年度までの平均で2001年度比で8%削減する目標を掲げられました。しかし、2005年度の排出量は、1.2%減にとどまっていることから「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」すなわち環境配慮契約法の成立となったわけです。この法律を実行性のあるものとするためには、更なる原子力発電の推進が必要です。今年3月19日開かれた総合エネルギー対策推進閣僚会議で、政府は地球温暖化防止のために2010年度時点の原子力発電目標を毎時4186億キロワットとし、今の水準より約3割増やすことを国策とすることで合意しています。商業用原発については、今ある52基の原発を2010年度までに10〜13基増設することが不可欠とし、地球温暖化対策推進大綱にも反映されています。また、同法では、新たに省エネルギー改修事業(ECO事業)が盛り込まれています。国や独立行政法人をはじめとする庁舎にECO診断を実施、改修にあたっては債務負担行為の年限が従来の5年から10年間へと延長されます。意見書の項目では、集中豪雨等にたいする堤防の強化や海岸侵食対策への積極的な取り組みが掲げられています。そのための方策は確かに必要ですが、それが新たな公共事業の実施へとつながるのであれば問題です。治水については、従来の河川改修では限界も見えてきていることから河川工学の専門家からも土地利用の見直しが必要との認識が示されていますし、海岸侵食の主な原因であるダムなど水源開発施設についても不必要で無駄な大型公共事業を早急に見直すことが求められています。地球温暖化対策は急務であるとの認識に異論はありませんが、これまでの社会経済のあり方を抜本的に見直すことがまず何よりも必要であると考えます。今年3月末、全電力会社12社から過去にさかのぼった点検結果が報告されました。データ改ざん、偽装、捏造、隠蔽など発電所による不正は1万646件もあり、原子力発電所はそのうち455件を数えました。その中には制御棒脱落という臨界・暴走事故につながる極めて危険な内容も含まれています。国の温暖化防止対策は原子力発電・核燃料サイクルの推進を自治体と住民に一層押し付けるものであり、容認できないことから、本意見書に反対といたします。以上で、討論を終わります。
|