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議席9番入江晶子でございます。
市民ネットワークを代表し、発議案第9号には賛成の立場から、また発議案第10号には反対の立場から討論いたします。
初めに、発議案第9号「児童扶養手当制度の充実に関する意見書」についてです。2002年児童扶養手当削減の法改定が成立し、政府は母子家庭への経済的支援から就労支援へと政策の転換を行いました。しかし、その具体的な支援策については、十分な予算付けも行わず自治体任せとなっているのが現状です。今回の削減は、離婚の増加によって生じた総額2600億円の児童扶養手当を抑制することが第一目的であったことからも明らかです。母子家庭の就労収入の平均は171万円で6割以上が臨時パート雇用であり、児童扶養手当や生活保護、仕送り等をあわせても年収213万円で生活しています。これまで多くの母親たちは、この児童扶養手当を命綱に子育てや仕事に孤軍奮闘してきました。雇用情勢も厳しいなか、実効性ある就労支援、そして生活全般の支援策をより一層充実していく必要があります。そのためには自治体の積極的で暖かい取り組みが不可欠です。99万世帯にのぼった母子家庭の子どもたちの育ちをきちんと保障し、格差社会をこれ以上進めないためにも、本意見書は採択すべきであり、賛成といたします。
次に、発議案10号「取調べの可視化の実現を求める意見書」について、反対の討論をいたします。
裁判員制度は、殺人や強盗致死傷など重大犯罪で死刑もあり得る裁判に国民が参加、有罪か無罪かに加え、量刑を多数決で決める制度です。2009年5月までに実施することになっていますが、法曹界の中からも制度導入に反対する動きが強まっており、多くの問題点が明らかになっています。制度導入の趣旨として、「法律の専門家でない人たちの感覚の反映」、「国民の司法に対する理解と信頼の高まりを期待」があげられていますが、国民の反応は参加に消極的です。
内閣府が今年2月に発表した世論調査によると「義務であっても参加したくない」「あまり参加したくないが、義務であるなら参加せざるを得ない」を合わせると78%という結果になっています。なぜ国民はこの制度に消極的なのでしょうか。最高裁・法務省は個々人の仕事上の日程調整や都合が「参加したくない」理由だとそらしていますが、国民的議論を経ることもなく法制化を急いだ背景があります。この制度は99年から2年間続いた司法制度改革審議会の最終局面で突然浮上した経緯がありますが、審議会の中では「国民は司法参加を求めているのか」「なぜ重大刑事事件が対象なのか」「裁判員制度で審理が粗雑にならないか」等々の重要事項について議論がなされていませんでした。国会においても、衆議院3週間、参議院1週間という短期間、極めて不十分な審議を経て2004年5月に成立してしまいました。裁判員制度の大きな問題の一つとして、国民に対する新たな義務が課せられる点があげられます。裁判員に選ばれた人は法律と政令で定められる理由がなければ辞退できず、拒めば罰則が科せられる場合もあります。辞退する特別な事由には「人を裁くことは思想・信条に反する」などは入らず、国民総動員ともいえる制度です。日本国憲法が定める国民が負う義務は、「保護者の子女に教育を受けさせる義務」「勤労の義務」「納税の義務」の3つであり、「裁判に出頭して人を裁く義務」はどこにも明記されていません。それなのに、国民に対して内心の自由を侵害し裁判員になることを義務付け、終生厳しい守秘義務を課すことは憲法違反の何ものでもありません。一方、裁判員裁判の審理の仕組みについても、大きな問題があります。裁判の迅速化を図るために刑事訴訟法が改正され、裁判員が加わる前に、裁判官、検察官、弁護人で争点や証拠を検討し審理計画をたてる公判前整理手続きの仕組みをつくり、可能な限り連日開廷するよう義務付ける規定が盛り込まれました。この公判前整理手続きによる証拠決定は非公開で行われ、裁判員としての市民の役割は形式的なものとならざるをえません。何よりも裁判迅速化の名目で刑事裁判から被告人の人権を守る要素が失われれば、多くの冤罪を引き起こす危険性があります。有罪率が99%以上といわれる日本の刑事裁判において3年以内に無罪判決がだされたことがないことからも、短期間で重大事件の刑事責任を判定するのは無理であるといわれています。現在の裁判制度のあり方を根本的に議論し、国民に分かりやすく開かれた仕組みづくりに向けての改革はもちろん必要です。しかし、この裁判員制度はそのために全く役に立たないばかりか、むしろ後退させるものです。従って、裁判員制度導入を進めるための本意見書には反対いたします。
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